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コラム

 このページは弊社役職員が、保険マーケットに関連したテーマについてお話するページです(定期的に更新予定です)。

コラムNo.2:「『再保険』について」

 KIBコラムの2回目は、再保険について、弊社の担当部長に書いてもらうことにしました。「再保険」というのは、元来、保険会社が自らのリスクを分散するためにかける保険であることから、一般の方々にはあまり馴染みのないものであったかと思いますが、例のニューヨークの同時テロ以降、それが日本の損害保険会社倒産の引き金になったこともあって、にわかに注目を浴びるようになったような気がします。
「○○の終焉」といった、何やらおどろおどろしいタイトルがついていますが、お互いに気心の良く知れあった仲良し同士で長い間やってきた再保険マーケットのイメージの一端がよくお分かりいただけるのではないかと思います(八並)。

「伝統的な再保険取引の終焉」
 再保険という、昔からある「保険の保険」というシステムは、今や青息吐息、年によって損益が大きく変動しています。このことは、世界最大の再保険会社であるミューニック・リー(ミュンヘン再保険会社)の数字をみても明らかです。2002年1月から6月の同社の総利益は約5,000億円ですが、7月から9月にかけての第3四半期のそれは約1,000億円の赤字でした。東欧の洪水損害に515億円を支払ったからです。それでも9月11日のテロ事件があった2001年の第3四半期の決算は1,412億円の赤字でしたから、赤字幅は2/3に縮小したことになります。このように再保険会社の損益は、自然災害を始めとする集積リスクを引き受けているために、元受の保険会社(通常皆さまが取引をされる保険会社のことです)に比較して、数字が上下に大きくブレることがお分かりいただけるかと思います。

 再保険事業は、従来の考え方で言えば、「金持ちの道楽で、10年、20年といった長期で収支が合えばそれでよい」といったような感覚のものであったのですが、そうした時代感覚はもはや終焉を告げ、目先の利く資本家は、もう数年前から再保険事業をやめて、別の事業へ鞍替えしたりしています。逆に、9月11日以降の保険料率水準の高騰を利用して、新規に参入を図ろうとしている資本家もいます。いずれにしても、激変するこの時代では10年単位で物事を考える意味はなくなったのです。

 元受会社と再保険会社の関係は、従来は極めて安定的であったのですが、毎年、同じ再保険会社と運命共同体的に利益を共有するといった感覚はなくなりました。元受会社にも、今年は再保険で大きく回収することができたから来年は少し戻しておいてやろうなどという余裕はありません。再保険契約の更改も値段次第となり、高ければ契約更改をドライに取り止めるようにもなりました。再保険会社の方でも、その元受会社との取引が儲からない商売と判断すれば、契約更改のオファーはないわけですから、お互い様ということです。


 地震のような10年、20年に一度しか発生しないようなリスクでも、毎年毎年の再保険料で辻褄を合わせるようにしていこうというのです。出再(再保険の出し手。つまり元受会社)、受再(再保険の引き受け手。つまり再保険会社)の双方の再保険関係者にとって、「長い目で見ればお互い生き残っていける水準でのやり取り」は、信頼を基礎に、長年かかって築き上げてきたビジネス・モデルであり、保険のプロ同士のやりとりでした。

 「9月11日のWTC事故は果たして一事故とみなされるのか、それとも二つの事故であるのか」といった「定義」をめぐる問題を法廷で争うことは、保険学者にとっては昔から興味のあることだったでしょうが、実務家にとっては、そんな法廷での結論を待つことなく示談で解決を図っていました。お互いの貸し借りは、その後も継続的に行われる他の商売で解決していくようにしていたので、結論に時間をかける必要はなく、法廷での判決は、将来、同様な事件が発生した場合にどう処理するか、という際の考え方の参考にする程度でした。再保険は「信頼に基づく取引」というのが基本でしたから、元受で保険証券にあたる再保険証券とでも呼ぶべき証券も、信じられないでしょうが、長い間、そもそもない状態で取引が続いていたのです。

 現在では、関係者の引受意図を明確にするために、再保険証券またはそれに準じる契約書類が取り交わされるようになってきています。当然と言えば当然かもしれません。でも昔のやり方を知る者からすると、何かせちがらく厄介な世の中にどんどんなってしまうような気がしてなりません。お互いが信用に基づいて取引をすることができた良き時代に戻りたいと思うのですが、こうした願いは無理な相談ということなのでしょうか?

共立インシュアランス・ブローカーズ(株)
再保険部長 岩橋 格
 
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